環境・エネルギー-詳細

2012/01/17|活動報告(エネルギー・環境)

東京都生協連のめざすエネルギー政策について

 2011年10月から常務理事会、理事会での討議を重ね、2012年1月10日の理事会で下記のとおり決定しました。
今後具体化に向け、会員生協と協同による学習会、研究会等の開催を計画します。

 

東京都生協連のエネルギー政策

 

  1.原子力発電への依存率を可能な限り引き下げ、将来的には、原子力発電に依存しない社会をめざす。

  (1)新たな原子力発電施設の設置は行わない。 

  (2)既存の原子力発電については、新たな安全基準や防災計画に沿って「仕分け」を行い、補強が技術的に困難なものについては、耐用年数前であっても、前倒しして廃炉にしていく。

  (3)既存の原子力発電の再稼動に当たっては、厳密な安全基準をもとにリスク管理を求めるとともに、国民的理解と地元住民への合意を得る。

  (4)核燃料サイクル政策については、再処理の技術的問題や最終処分場が設置できないことから撤退する。
 

 2.風力や太陽エネルギーをはじめとする再生可能な自然エネルギーを拡大していくエネルギー政策への転換を図る。

  (1)化石燃料やウランは、数十年から百年程度で枯渇することが予測され、国際的な争奪による価格変動リスクも一層高まっており、エネルギー供給の安定的な確保の面からも再生可能な自然エネルギーへのシフトが急務である。

  (2)自然エネルギー普及までの移行期には、石炭火力、旧式の天然ガス発電だけでなく、効率性の高い天然ガスによるガスコンバインド発電を推し進める。

  (3)原子力発電コストの試算をバックエンド費用や国からの資金投入、事故被害補償費用等を含めたもので厳密に再試算するとともに、発電コストの比較に当たっては、その算定根拠について広く国民に分かりやすいデータをもって公表することを求める。

  (4)原子力開発にシフトした電源開発促進税の使途の見直しを求める。
 

 3.現行の地域独占型の電力事業のあり方の見直しを求める。

  (1)電力会社による地域独占体制を抜本的に改め、自由化を進める。

  (2)発送電分離の検討を行い、地域分散型、中小規模発電会社の存在する参加型の発電体制とする。

  (3)北海道から九州・沖縄まで、発電した電気エネルギーをそれぞれの需給バランスにそった状態で調整し合えるようにするため、スマートグリッド等の電力網を構築し、全国規模で融通できる環境を整える。

  (4)原子力発電から脱し分散型の電源を選択することは、独占的なエネルギー政策から参加型、分権的な社会をめざすことに繋がり、21世紀の持続可能な社会を築くこととなる。
 

 4.電気エネルギーの依存度を減らす社会環境づくりを推し進める。

  (1)「我慢の省エネ」ではなく、最先端技術を活用した「エコハウス」等の促進を図り、自然光の採用、壁・窓の断熱・防湿材の採用、室内空気の循環、地熱利用等が進むよう普及、補助制度の充実を求める。

  (2)今夏、事務所や家庭での節電対策の成果を受け、引き続き、過度なエネルギー消費型の設備環境を見直し、人に優しいエネルギーの使い方を求めるライフスタイル、社会環境の普及、定着をめざす。
 
 5.地球温暖化防止に向け、省エネルギー機器の開発・普及の速度を速めるためのあらゆる政策、財政措置等を求める。とりわけ、電気エネルギーに変換せずに自然エネルギーそのものを活用できる機器の開発を促す。
 

 6.以上の政策を推し進めていくために、東京都生協連と会員生協、そして組合員ができることから行動、実践することを呼びかける。

  (1)エネルギー政策のあり方について、一人ひとりが知り、知らせ、考え、行動する。

   ① 電気エネルギーの需給バランス、安定供給を続けるための仕組みについて

   ② 現在のエネルギー政策とエネルギー供給の現状について

   ③ 原子力発電の依存度低減にむけたシナリオと課題について

  (2)家庭でできる省エネ、節電の取組みと、最新の省エネ、節電機器・設備等の導入を促進する。

   ① 省エネ、節電診断の実施。セルフ診断や省エネアドバイザーによる取組みの普及強化

   ② 家庭での省エネ、節電効果が見える仕組み、スマートメータ等による利用状況の把握

   ③ 太陽光発電、燃料電池、断熱窓等、最新の省エネ、節電機器・設備の紹介と普及

  (3)事業者として引き続き、省エネ、節電の取組み、省エネ、節電環境の整備を進める。

  (4)会員生協間の連携により推進できる取組みについて、研究を図る。

   ① 特定エネルギー供給事業者からグリーン電力を購入する取組み

   ② 組合員をはじめ都民から出資を募り、グリーン電力発電施設等の建設への協力

                                                                    以上

 
2012年1月10日、2011年度第5回理事会で承認